希望の地へ ある街の酒場。 銀色の髪を結った女性が悲しく静かに歌っていた。 「叫べども願いは届かず。 されども希望は捨てず。 いずこかへ去った命のかけら。 いつかいつかこの手にもう一度。 いつかいつかまたこの腕(かいな)に抱きしめる」 彼女の名はシルキー・ファリュウ。 ノルマン出身の吟遊詩人でいまはある理由から旅を続けていた。 彼女が家をでたのは4年と少し前。 冒険者として立派なバードになるためあこがれていた 師匠について出たのだ。 旅は楽しかった。 自分の見知らぬ地で見知らぬ伝承を聞くこと 歌を知ること。 この喜びを歌いたまにシフール便で家へ無事を届けていた。 旅を続けていたある日。 彼女の耳に届いた悲劇…村が怪物の手によって壊滅させられたと。 あわてて彼女は戻った。 ふるさとには家族を残していた。 やさしい父、昔冒険者だったのという母 そして、自分のあとを付きまとっていたかわいい妹…チェルシー。 絶望と希望が交錯する中戻ったふるさとは…跡形も無く。 家族の行方さえつかめなかった。 それから…しばらく。 師匠の元を離れた彼女は家族の無事を信じてこうして旅をしていた。 切ない声が響く。 リュートの音がそれに響きあうかのように…酒場の人たちの瞳をぬらす。 演奏者に力が入り…歌は終わった。 こうして自分の所在を残していけばいつか… いつか家族と会えるだろうと信じていた。 希望は捨てなかった。 「おジョウちゃんすばらしい時間をありがとな」 「ううん…こっちこそ歌わせてもらえてよかったよ」 まだつたないイギリス語を使い酒場のマスターと談笑する。 いつの間にかノルマンからキャメロットへ来ていた。 かすかな希望。 それを求めて。 「しかしさっきの歌やけに力が入っていたけど…」 「…うん」 あの歌は自分が家族を思って作った歌だ。 マスターにそう説明した。 「そうか……いつか見つかるといいな、家族…」 「うん…」 いつか…希望は捨ててないけれど。 「もしも…ファリュウさんっていう人が来たら ここにあんたが着ていたことを教えてあげるからね。 しばらくここにいるんだろう?」 「そうだね、キャメロットでいくつか仕事請けてそれからまたうろつくよ」 「じゃ、またよかったら歌いに来ておくれよ」 「ありがとう」 酒も飲み干しシルキーは酒場を出た。 さすような冷たさが彼女を襲う。 「ね・・・チェルシー貴女は凍えてない?」 みをちぢこめながらシルキーは取ったばかりの宿へと戻っていった。 「お兄さんなんか良い依頼ないかな?」 「そうだねー」 名前を売るには冒険をすることが一番だ。 しかしむやみやたら冒険をしても自分の命を落とすことになってしまう。 自分の受けたい依頼と力量をれを見極めたうえで 選ばねばならない。 冒険者ギルドはそういった点でとてもよい場所だ。 さまざまな依頼が入ってくる。 人探しから化け物退治…。 「あ、これなんかいい感じ」 「じゃ、依頼者に名前入れとくよ…っとあんた名前は?」 「シルキー・ファリュウ…っとこんな字で書くんだ」 名前を告げた時背後でいすが倒れる音がした。 みればファイターと思われる青年が一人。 「あんた、今名前なんていったんだ?」 「え?なんであんたに教えなくちゃならないわけ」 「いいから!あんた今…シルキー…ファリュウとか言わなかったか?」 驚いた表情のままの青年。 シルキーは怪しそうに彼を見つめた。 しかし彼が直後に発した言葉は… 彼女に思いもよらぬ朗報をもたらしてくれたのだ。 「チェルシーって子しってるか?チェルシー・ファリュウ」 「…ちぇる…しー…!妹と同じ名前だよ」 何故彼が妹の名を知ってるかなんてどうでもよかった。 ただただ思いもよらぬところで聞けた妹の名に驚いていた。 「実は依頼を一緒に受けてるんだよ。 昨日作戦を話すためにここに来てちらっときいたんだけど 4年前、ふるさとの村が化け物に襲われてここに流れ着いたって言ってた。 いまは姉を探していると」 「…私の…村と同じ…。じゃあチェルシー…」 「あの子また今日もここに来るらしい。 もう少し待ってたらあえるんじゃないか?」 足が震えた。 もしかしてもしかして…いいえ。 心の片隅に確かな希望が芽生えた。 しばらくここにいてもいいとギルドマスターに許可をもらって シルキーはチェルシーが来ると言われている卓へ座っていた。 時は進む。 やがてそこに一人の少女がやってきた。 「ごめんね!おく…れ…て…」 卓へとたどり着いた少女がとまった。 すらりとした体、長い髪を高く結わえて… 髪と瞳の色はシルキーと瓜二つ。 少女の瞳はシルキーを写す。 シルキーは確信しながらも少女に声をかけた。 大事な妹…記憶にあるよりも成長した目の前の美少女に。 「チェルシー?」 祖国の言葉で。 「チェルシー・ファリュウ?」 「そ…う…あたしは…チェルシー・ファリュウ。 ノルマンのリラ村…」 リラ…それは懐かしきふるさとの名前。今はない…。 「おねえ…ちゃ…ん?」 少女の双眸からはらはらと涙がながれた。 「そうだよ…お姉ちゃんのシルキーだよ」 「おねえ・・・ちゃ・・・ん!お姉ちゃん!!」 やっと会えた!そういって大声で泣きながら少女−チェルシーは姉に抱きついた。 絶望から4年。 ふるさとから遠く離れたイギリスの地でやっと二人は再び。 希望の地。 希望の歌を歌おう。 願えば届くはず。 希望を失わないで…そうすれば願いは届く。 聖夜よりもまだしばらく前の…出来事。
姉妹再会編。 いろいろでっち上げですよ!だって初依頼この時点で 受けてるわけ無いんですもの; それはそうと、誤字などありましたらこっそり教えてくださいませ; なんだか私誤字作成まっすぃ〜んなようです(本館でもよくやってる;) こんな駄作読んでくださってありがとうございました! (05.04.10up)