珍妙な出会い



異国の地…周りに華やかな色があふれる中
一人の女性が街中をさまよっていた。
黒髪に暗い色をした衣装を身にまとい、足音は静かに軽やかに。
忍の特徴をよく現した姿で彼女
--名は柚羅桐生(ゆらきりゅう)といったが
−−は月道より一歩でてあっけにとらわれた。
石造りの家、大きな城。
自分のふるさととはまるっきり違うその様子。
彼女は今日生まれて初めて生まれ故郷江戸−否、ジャパンを飛び出し、
必死にためた大金をはたいて月道を通った。
出てみれば異国の地、イギリスはキャメロット。
何もなければ一生国を出ないでいただろう。
しかしもう…家に、ジャパンにいることはできなかった。
なれぬ国の言葉を覚え、必死に働きようやくついたこの地で
新たなる人生を始めるのだ、と桐生は決心していた。

ジャパン…大事なものを置いてきてしまった場所。
すべてを捨ててでも出てこなければならなかったわけ。
桐生はかぶりを振った。
過去を捨てねばならぬ。何時までもくよくよとしていてはいかんのだ。
心の中で決意をもう一度固め歩き出した。

大きな街中を当てもなくさまよう。
まずはしばらくの宿を探すか…そう思いながらあたりを散策しつつ。
しかし…いくら彼女が異国の言葉を学んだとはいえまだかじった程度。
話すには何とかなっても、読み書きは難しい。
どこが宿なのかわからない…。
どうするべきかと思案していると人一人挟んだ向こう側で大きな物音がした。


「いたたた…またやってしまいましたね」
腰をさすりながら誰かが道端に座り込んでいた。
いや、転んだのだ。
周りには散乱する果物や、生活雑貨。
桐生は苦笑しながらその人物に近づいた。
「災難であるな…大丈夫か?」
「はい、ありがとうございますいつものことなので大丈夫ですよ?」
にこっと笑ったその人−女性は見事な金髪を背中に流し
神の流れる隙間からは人ではない特徴ある耳が覗いていた。
エルフ…か。
ジャパンではめったに見ることのできなかった人種だ。
しかしこの女性、さっき奇妙なことを言っていなかったか?
『いつも』と。
荷物を拾い、女性が立つのに手を貸してやる。
そしてその腕の細さに驚いた。
なんと!エルフとはこんなにも華奢なのかと。
「ありがとうございます」
彼女は桐生が集めたものを受け取ろうと手を伸ばした。
しかしこの荷物の量…尋常ではない。
もし彼女をほおって置いてこのまままた荷物を渡したら
またどこかで転んでしまうのではないか?
桐生は心配になった。
自分が今日キャメロットへついたばかりという不安以上に。

「…おぬし名はなんと言う?」
「え?…」
「私の名前は柚羅桐生と申す。先ほどジャパンより参ったばかりだ」
「ええっと、私はリーラル・ラーンといいます…それで・・・」
桐生は決めた。
「ではリーラル殿、この荷物少しあなたには勝ちすぎるもののようじゃ。
ぶしつけながらそなたの住処までお送りしようかと思うのだが」
そうでないとまた荷物後と転ぶのではないか。
外見大人びてしっかりしているリーラルだが、なんとはなしに
ふやふやとした危ないオーラをまとっていた。
「あ、えっとよいのですか?ご予定などあるのでは・・・」
「いや、今のところ特にないのでな・・・それと申し訳ない。
ひとつ願いがある」
「なんでしょうか?」
ものはついできいてみようか。
「きゃめろっとの宿屋を教えてほしいのだ。あとは冒険者ぎるどをな」
桐生はジャパンを出るときに決めていた。
修行を積まなくてはならない…また生活することも必要だ。
むこうについたら冒険者として生活をしてみようと。
「宿でしたら・・・えーっと狭いですが私の家へいかがですか?
・・・借家ですけれども」
なんとありがたい申し出だろう。
「しかし・・・かまわぬのか?ご主人とかご家族とかいらっしゃるのでは?」
「いいえ、私は一人暮らしです。それに私の家は冒険者街にあるんですよ」
ぼうけんしゃ・・・?
ま、まさか彼女は!?桐生はこわごわ聞いた。

「・・・つかぬ事を聞くリーラル殿・・・おぬしは冒険者なの、か?」
「ええまだかけだしですけれども・・・きゃあ!」
話をしつつ歩き出したとたん、リーラルは何もないところで転び・・・かけた。
とっさに開いた手で桐生がリーラルを抱きとめたのだ。
こんなに危なっかしい人が冒険者・・・しかも一人暮らし。
まだ出会って間もないというのに桐生は心配でいっぱいになった。
ある意味母性本能をくすぐられ
・・・というか守らなくてはという奇妙な思いが芽生えたのだ。
おかしい異国のほとんど面識もない人に。
「あぅぅ・・・ありがとうございます。いけませんね?毎日転んでばかりで」
まいにちいったいどうすればそんなに転べるのだろうか。
「と、とにかくリーラル殿何もせず家まで行こう」
このままではきっと家に着くまで何度転ぶかわからない。
しかしよくここまで一人で暮らせたものだと思う。

何とか冒険者街の彼女の家へ着いたものの、結局その後も
何度か転びかけ桐生の心配事は増えていった。
そして決めた。
ちょうどよくリーラルの近所に空き家があると知った桐生は
見知って間もないリーラルを引きつれ大家の下へ駆け込んだ。
「大家殿!家を貸してくだされ!」

そばで見守っていなくては心配だ。
出会って間もない他人にそう思わせるリーラルは、つわものなのか
そうでないのか。
これが彼女たちの出会いの話である。

――――

リーラル宅にて。
そう思い出話に興じていると向かいの女性が二人テーブルに突っ伏していた。
「あ、あははは・・・・やっぱりリーラルさんらしいね?」
ポニーテールの少女は笑いながらそういう。
「今度そのはなしうたにしてみよっか?」
少女に似た幾分おとなっぽい女性がそういって
「やめてください!チェルシーさんわらわないで!
シルキーさんはそんなの歌にしないでください」
リーラルの顔を真っ赤にさせていたという。

柚羅&リーラル出会い話と女性PC陣の他愛もない日常。 あいかわらずリーラルはドジと(ぉ (05.07.08up)

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